乳がんを切らずに治す

女性タレントの乳がん闘病中のニュースを聞き、「他人事ではない」と感じた女性は多いだろう。その乳がん治療も最新治療が次々と開発されることによって、徐々に光明が見えてきた。鹿児島県の医療機関では、「切らずに治す乳がん治療の実現」の実現に大きな親展があったそうだ。
痛みも、傷跡も生じない。その上、じっくりと「命の洗濯」までできてしまう乳がん治療が、もうじき実現するかもしれないという。
近年、日本では乳がんと診断される人の数が増えており、一生のうち、女性の12人に1人がかかるとも言われている。一方で、治療法の進歩によりステージ1~2期では5年生存率が90%以上、10年生存率もステージ2であれば80%近くに達しているという。
乳がんはもはや不治の病ではなく、年間9万人弱が罹患するものの7万5000人は生還し、化学療法や放射線治療を受けながら生き抜いていく時代になった。罹患経験者は「サバイバー」と呼ばれ、病と付き合いながらの人生を送ることから「手術を終えた後は、”糖尿病”や”高血圧”など同じような”慢性疾患”だと思って」とアドバイスする医師もいるほどだという。
こうした動向と並行して、治療法もかつての「生命さえ助かれば、それ以上は望まない」的なものから、身体への負担はより小さく、術後のQOL(生活の質)より高く目指す方向に変化しているそうだ。
身近なところでは乳房再建。2014年1月、再建用の人工乳房がが全面保険適用になったのをきっかけに、乳房をすべて切除してから乳房再建するケースと乳房の一部を切除する温存手術の割合が逆転したとのこと。それまでは、治療のためとはいえ乳房を切除する喪失感は耐え難いと温存手術を希望する人が多かったという。しかし全的と再建が同時にできれば、喪失感をだいぶ緩和することができる。これは命もQOLも重視する、今どきのがん治療を象徴する出来事だ。
そして、これらの潮流の最先端にいるのがメディポリス国際陽子線治療センターが提供している医療だそうだ。
陽子線は、陽子を光速の約70%まで加速させたもので、非常に高いエネルギーを有するという。ターゲットであるがん細胞までの角度や距離などを細かく設定して放たれた陽子線は、身体の中に入ってがん細胞とぶつかった途端、強いエネルギーを出して消滅するとのこと。体の中を通り抜けてしまうX線と違って周辺の正常な細胞や臓器にダメージを与えないそうだ。
つまり、ピンポイントでがん細胞を死滅させることができるのだ。またどれほど身体の深い場所ににあるがんでも、複雑な形をしていても、角度を360度細かく調整しながらの照射によって致命的なダメージが与えられるという。陽子線治療なら、乳房を一切損なわない乳がん治療が可能になる。
がん治療と聞くと壮絶な闘病生活を思い浮かべる人も多いと思うが、ここでの治療は外科手術のように身体を切り開く必要もなければ、抗がん剤のような副作用もないという。治療室入室から退室までの時間は20分ほど。痛みも熱さも感じない治療を終え、患者は自分の足で元気に治療室から出ていく。
陽子線の照射は基本的に1日1回2分弱で週5回。3週間~1か月藩の治療期間を要するとのこと。治療費は先進医療のため、技術料は全額自己負担で288万3000円かかるが、がん保険の先進医療特約に加入していれば保険で全額カバーされるそうだ。
ほとんどの患者が滞在するのはセンターに隣接する『指宿ベイテラス HOTEL&SPA』だが、車で20分ほどの距離には日本屈指の温泉地・指宿温泉があるので、老舗和風旅館に長逗留する患者も多いらしい。滞在中はおいしい食事に舌鼓を打ち、温泉につかり、ゴルフに出かけたりしながらのんびり過ごすことができるという。まさに「命の洗濯」だ。敷地内には子どもを持つ患者のための保育所も完備されているそうだ。
現在は苦しく長い乳がん治療も、今後の治験が終了して早期乳がんの陽子線治療が実現し、さらに同センターのコンセプトが広まれば乳がん治療は「女性の人生をリフレッシュさせてくれるチャンス」と、近い将来言われるようになるのかもしれない。